群馬県民会館の件(その3)

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(その2)からの続き

3.県民会館の今後

県民会館については、まちづくりの観点から県立図書館と隣接している立地の重要性や、建築物としての文化的価値など、様々な角度から群馬県民会館の再評価もなされている。それは理解できるし共感もするが、ただ文化行政としては傍論なのではないか。いかに、県民文化の振興に資するか否かこそ本論であると心得ている。

文化振興指針記載のように、県民会館が広域的見地から設置された施設であることに思いを致せば、前橋市外の文化団体等からは、同様の声があまり上がっていないように感じている。(←筆者の調査不足もあり仮説の域を出ないが)事実であれば、皮肉なことに、これこそが県民会館が『前橋ローカル化』してしまった何よりの証左なのではないか。

もちろん、全県民の代表たる県議会が一定の決議をしており、重く受け止めるべきとは承知しているが、前述のとおり決議内容には玉虫色が滲み出し、情勢次第でどちらでも転べる穏健な性格を帯びている。また、守る会・願う会の二団体による二万人超の署名もその半数が前橋市外からのものと聞いているものの、全県の文化団体がもっと声を上げ、広域的施設存続の必要性を立論できなければ、行財政改革を前面に押し立てる県を慌てさせたり、あるいは県議会を完全に振り向かせるるような迫力に欠けると感じるのは、私だけだろうか。

なお、前述の私の仮説が正しいとすれば、広域的文化発信といった歴史的役割を終え、『前橋ローカル化』してしまった県民会館は、無論、県からの有形無形の支援が必須という条件は付くだろうが県から市に移管して存続するというのが落とし所となるのではないか………そんな風に思っている。(市が引き受けるかどうかはまだわからないが・・・)

県ホームページによれば、本年1月中には「見直し委員会」の最終会合がセットされていたようである。いずれ近いうちに、県からの最終方針が明らかにされることだろう。もしかすると、存続の場合に必要となる経費の詳細や、その場合の県民1人当たりの概算負担額等、何よりも今後の県の文化行政へのビジョン(最終的には第3次文化振興指針となるべき?)もセットで……これらが明らかにされれば、県民世論の風向きも変わるかも知れない。存続には今後××年で○○○億円かかります、よって県民1人当たり△△万円かかります、てな具合に。そうすると、考えを変える県民もいるはずで・・・いずれにせよ、年度内を限りに結論を急がずとも、必要な情報を得た中で、もう少し(3ヶ月でも半年でも)時間をかけて議論を重ねても良いのではと思う次第。

4.前橋男声合唱団・・・演奏者としての立場から

我々前橋男声合唱団は、実は群馬県民会館でのオンステ機会はさほど多くない。群馬交響楽団と「交響詩曲ぐんま」(これこそ、県民会館竣工時の記念事業で編まれた大曲!)を歌う年一回の演奏会に、1990年代に男声コーラスとして数回オンステしたことがあるほか、直近では2006年にやはり群馬交響楽団演奏会「コーラス・ファンタジア」に同様に賛助出演したことがある程度。振り返れば、数回ながら我々は県民会館での興行に確かに参画し、貴重な音楽的経験を積むことができたのもまた事実である。そのような機会に巡り会えたのは県民会館が存在したからであり、文化事業団等の主催者による導きがあったからでもあり、県民会館への感謝の思いは少なからず抱いているつもりだ。

一方で、ここでの自前演奏会の開催経験は皆無である。なぜ会場候補に上らなかったかというと、その理由は音響がいまひとつだからの一点。大合唱団なら数の力で押し切ることも可能だろうが、小団のような少人数合唱団には、音響の良し悪しは演奏の良し悪しにも直結しかねない。音響は会場選定時の最優先検討事項であったのだ。

このように、小団と県民会館はこれまで直接のお付き合いが希薄な中、時間が経過してしまっている。それ故に、ドライに客観的な見方も可能な気もしている。だから、ここまで思いを綴ることができているわけで。

確かに、群馬県民会館が廃止となれば、これまで利用していた団体が近傍の施設に転出し、本番・練習会場共に、その確保時など競争が激化することが懸念される。この点からも、移管による県民会館の当面の存続を支持したいが、存続のために加えるべき補修など、県民及び前橋市民が将来にわたり負担する内容の全貌について不明な点も多く、正直胸を張って旗幟を鮮明にすることができない。引き続き県と市には情報開示をお願いしたいところだ。

5.まとめ

 1.県の意思決定過程は適正であったと思われる。
 (今後の情報公開にも期待)
 2.県の広域文化行政に対する今後のビジョンが不明。その提示がセット。
 (もし、県の関与を薄め市町村営施設に代替を求めるのであれば、補完するソフト施策も必須)
 3.県民会館が『前橋ローカル化』してしまった現状(筆者の主観ではあるが)を鑑み、
  県から市へ移管するのが落としどころではないか

以上、客観的データに乏しい中、かなりの部分を主観で論じるのは限界があるので、この辺にしておきたい。
毎度乱文にて恐縮です。最後までお読みいただきありがとうございました。


【関連記事】
〇群馬県民会館の件(その1)
〇群馬県民会館の件(その2)

 

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