日本オーケストラ連盟など抗議 交流予算の縮減で
読売新聞(2009.12.7 13:51)
政府の行政刷新会議が、事業仕分けで芸術家の国際交流の予算要求の縮減が妥当などと判定したことに対し、日本オーケストラ連盟などが7日、抗議を表明した。指揮者の尾高忠明さんや外山雄三さん、作曲家の三枝成彰さん、ピアニストの中村紘子さんらが東京・丸の内の東京国際フォーラムで記者会見を開いた。
事業仕分けでは、日本芸術文化振興会や芸術家の国際交流の予算要求の縮減が妥当と判定され、伝統文化子ども教室事業、学校への芸術家派遣、コミュニケーション教育拠点形成事業は国の事業として行わないと判定された。日本オーケストラ連盟と日本演奏連盟、日本クラシック音楽事業協会などは、芸術の質の低下は避けられず、豊かな人づくり、社会づくり、国づくりの沈滞、国際社会におけるわが国の地位低下を招くとして再考を求めている。
事業仕分けをめぐっては科学技術予算にも削減や見直しが相次いだことから、ノーベル賞受賞者らが11月25日に記者会見を開いて抗議。また、スポーツ予算の縮減が妥当と判定したことを受け、日本オリンピック委員会(JOC)は1日、フェンシングの太田雄貴選手など五輪メダリストらを集め東京都内で抗議の記者会見を開いた。
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先月から、いわゆる「事業仕分け」が行われ、その仕分けの手法やプロセス、そして報道ぶり等、
私自身眉をひそめながら見守ってきましたが、どうやらここにきて、
直接的、間接的に関係する団体や個人などから抗議が相次いでいます。
小団も、この平成21年度に助成を受けてお世話になった、
独立行政法人「日本芸術文化振興会」関連の事業仕分けの件です。
ここに仕分け時の評価コメントが載っている。ぜひ一読してみてください。
こんな事を平気でのたまう奴らが、今の日本の政治を仕切っているのです。
そうさせたのは、この八月の総選挙で大いに民主党を勝たせた我々国民ではあるのですが。
僭越ながら、更にそれに私がコメントを加えればですね、幼稚の一言です。
それに論理が飛躍しすぎている。
おまえら、それで政治の要諦を肝に銘じた政治家かと。
もちろん、政治の運営は、ときの経済状況に大きく影響されるので、
時勢に応じての増減は十分あり得る話ですが、今回の事業仕分けはそういう次元の話ではなく、
予算の「圧倒的圧縮」と「地方自治体での実施」と結論づけているのです。
この独立行政法人からは、前橋男声合唱団のような数十万円単位ではなく、
億単位の助成を受けてようやく経営されている芸術団体が数多くある。
その代表格が、我らが地元の群馬交響楽団に代表されるような地方オーケストラである。
今回の仕分けはまだ最終的な実施が決まったというわけではないのですが、
地方財政も這々の体で、地方オケをかろうじて支えているに過ぎません。
今でさえ財政難にあえいでいる地方オケを、真綿でぐいぐい締め付けるようなものです。
合唱も決して無縁ではないと思っていますが、全日本合唱連盟は何か声明を出すでしょうか。
今後も注目していたいと思います。
さて、上記でリンクを張らしていただいているが、
その評価コメントの中に次のような発言をした者がいるらしい。
『国が補助するというのは知識不足。
そもそも文 化振興は国の責務か、民間中心で行うか、議論が必要。 』
芸術文化事業が全て民間・・・すなわち商業ベースで展開すべきか議論が必要と言っています。
この者こそ知識不足なのではないでしょうか。
費用対効果という物差しでは、芸術や文化は測れるわけがありません。
とかくに住みにくい人の世を束の間でも住みよくするために、芸術は必要です。
これは、真理です。
古今東西、時の為政者は、必ず芸術に一定の庇護を与えてこれを容認しました。
昨年も、鼻息の荒い大阪府の橋下知事が、在阪のオケをつぶそうとしたことがありましたが、
そういう芸術に教養のない人間が増えてきている気がしてなりません。
だとすれば、実にゆゆしき問題です。
今日の記事の結びに、夏目漱石の「草枕」から、有名な冒頭部分を引用しておきたいと思います。
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山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画(え)ができる。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらする唯の人である。唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越すことならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするがゆえに尊い。
住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、難有(ありがた)い世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。あるは音楽と彫刻である。
(以下略)
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