演奏会と自動車社会

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先日の第5回演奏会では、お客様の交通手段の過半がマイカーであったが、 特に前橋市民文化会館は駐車場の容量に余裕がなく、現に何人かのお客様から苦情を頂戴している。

同様に、群馬県の音楽ホール(大抵が多目的ホールだが)で演奏を聴く場合、 交通手段が自家用車という場合がほとんどである。

開演前における入庫時は、時間に幅があるため、多少なりともバラけるのでいいのだが、 終演後の出庫時は家路を急ぐ自動車が少ない出口に殺到するので、入庫時より混雑するのは必至だ。

こんな時、一般に、駐車位置から一般道に出るまでの間に、自動車は無数の合流を繰り返すものだ。

しかし、皆同様に家路を急いでいるので、案外自車の前に入られるのを拒んだりするものである。

中には、一定確率で存在する、きびきび運転できない方もドライバーに混じっているから、 そういうクルマの後ろについてしまった時など、イライラはどんどん募ってしまうことだろう。

そんな状況下で、ますます自己中心化した運転者が増えてゆき、 駐車場内は、音楽を聴いた後の余韻を切り裂く、修羅場のような空間と成り果てるのだ。

私はこれが嫌で、演奏会は極力公共交通機関か、離れた場所に自家用車を置いて訪れるようにしている。

東京方面なら、地下鉄もあったりで、こんなつまらぬ思いをする必要はないのに。 生演奏を聴いた後の感動や余韻は、音楽を愛好する気持ちにとってとても大切なもの。

しかし、・・・これを無残にも打ち砕くものは何か。もしかしたら、気持ちの持ち方次第では、遅々として進まぬ車列の中だからこそ、 音楽を聴いた後の余韻に浸ったり、同乗者と感想を述べあったりできるという考え方もできる。

しかし、最初から、マイカーでの来場によるデメリットが自らの身に降りかかると想定できる方は、 そう多くはないはずだ。 むしろ、ドアツードアといったメリットを強く意識して来場する場合の方が多いのではないか。

あとは、公共交通が身近に存在せず、メリット・デメリットを知悉しながらも、 やむを得ずマイカーを選択している場合だ。

日本一の自動車免許保有率や自動車保有率(いずれも人口当たり)を誇る群馬県。 交通機関分担率もマイカーがダントツである。

公共工事が全国的に減少傾向にある中、群馬県は元気が良い。 平成21年度の道路事業予算は二割も増やして、道路新設や拡幅に鼻息が荒い。

しかし、見よ。 広い道路を通して、過疎地は近傍の都市に飲み込まれ、その地場商店街や医院は姿を消した。

過疎地に残って遠距離通勤するはずだった若者は、いつでも帰れると都市部に居を構えた。過疎地は、高齢者率も高く、医療にも買い物にも不便し、まさに活力を失いつつあるのだ。

都市部でも、主要交差点での渋滞は、バイパス新設や対策工事によって一時的に収束するが、 誘発された新規の自動車交通や郊外の新たな開発によって、違う交差点が混み始める・・・。 旧中心部は空洞化せざるを得ない。 まさにイタチごっこと悪循環の典型である。

道路を造れば短期的には効果があるが、長期的には公共交通は第一線から退場せざるを得ない。 群馬県の道路事業への力の入れようは、公共交通を殺しにかかっていると言ってもいいくらいだ。 道路が多ければ多いほど良いという時代はとうに過ぎ去っている。

これからの高齢化社会そして、変わらぬ自動車社会。 そのなれの果て・・・それが音楽の荒廃、文化の衰退でないことを切に祈る。

 

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