前橋男声合唱団は、現在団員数20余名。もちろん、合唱に関しては経験者と未経験者の混成チームである。
もしかしたら、未経験者の諸君は、経験者に対してある種のコンプレックスを抱くかも知れない。経験者の出す声が、ちょっとでも響きがあったりすると、スゲェと思ってしまいがちだ。敢えて申し上げるが、そんな劣等感は、合唱団という趣味の集団の中で、全く無益な概念だ。
声が大きいか小さいか、響きが有るか無いか、合唱経験が長いか短いか、技術レベルが高いか低いか、はたまたプロかアマチュアか等々…、こういう二次元的な比較は、合唱音楽に親しむという一点の前では、ほとんど重要ではない。
そりゃ、一人の歌い手という単品として、他の歌い手と比較されれば、多かれ少なかれ劣等感がわき上がってきてしまうことは人間的な面で否定はしないが、所詮、他者との比較は合唱をやる上で、果てしなく無意味に近い。
重要なのは自分自身である。もし、コンプレックスの価値を認めるとしたら、それを自分にとってプラスのモチベーションに転化できる場合のみだ。
既に、あなた達は合唱団の一員である。(ただし、ソリストではない)確かに、技術力のアップは一朝一夕ではいかないが、今日からできることがある。それは協調性の発揮だ。毎回の練習にきちんと出ることだ。
個人の技倆が高くとも、合わせる意識に乏しい合唱団員は少なくない。そして、経験者にとっては、自分の経験こそが、進歩を妨げる元凶となることが多い。特に、合唱経験が長かったり、そこそこ歌えていると自認している団員は要注意だ。(経験者を非難しているのではないよ…くれぐれも為念)
発声面を例にとれば、結局、自分の未達成な技術…いわゆる痛い所に斬り込んでいない場合が多い。
「やる気がないわけではない」と、経験者様は、きっと反論されるだろう。しかし、長期間、痛い所に斬り込めないのでは、「やる気がない」奴と一緒で区別がつかないのは事実だ。不断のやる気を持ち続けても、具体に行動しないのでは、不断のやる気を持っていないに等しい。
この辺でいいやと、高みを目指すのを忘れて、中腹からの景色で満足してしまい、次のチェックポイントに向かってトライを怠っている場合は実に多いものだ。更なる努力が面倒なのか。しかも出来る力を持っていながら、はなから諦めてそれをしなかったり。しかも、そういう方が団内で目に余ってきて、指揮者などが注意することがあっても、かえって逆効果だったり。
実に勿体ない。得べかりし利得が得られないのだから、団にとっては大きい損失である。(無論本人にとってもだ)これは、この世の幾多の合唱団にとって、実に陥りがちな共通現象の一つであろうなと、大した数の合唱経験しか持ち得ない筆者ではあるが、強くそう感じている。
その中で、未経験者の存在は大きい。未経験者こそが、純粋に団全体のレベルを押し上げる健全かつ最大の原動力なのであるから。
ただ、それには経験者の支援が欠かせない。今回、経験者をやや突き放すような物言いをした筆者だが、経験者のもつ向上意識の総和は、やがて団内の空気に投影され、未経験者がこれから抱くであろう向上意識の微分係数に反映されることになるのだから。
経験者が未経験者を育てるという側面は、あらゆる集団の中で、基本的な防衛本能でもあるのだ。
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コメント
Tetsu様。
私のブログに本記事の一部を転載させていただいております。どうかご了承ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/smxhb426/5645286.html
トラックバックしようか迷ったのですが、ほとんどが私見ですので辞めておきました。m(_ _)m