8月 092010
 

小団では、3時間半ある練習時間枠の中で発声練習にかなりの時間を割いている。 言うまでもなく、まずは身体をほぐし、十分な時間をかけてアップする事が、 合唱を楽しむ上では必要不可欠であるという考えに基づいているからだ。

もちろん、そういう時間をほとんどかけずに、アンサンブルを始めてしまう合唱団が多いことを、 現実として私は知っているが、集合時間前に予め個人的なアップを習慣としない限り、 長期的な技術の向上はおぼつかないというのが現在の団としての方針となっている。

かつて、大学のグリークラブに属していた頃、四年間だけという短期的なタームを大前提とし、 本来、もっと長期的な視点から声楽的鍛練を積むべき本流の一側面を模倣しながらも、 その実、とにかく喉をガリガリ酷使してでも、有り余る若さと体力そして豊富な時間を原動力に、口先や喉の操作だけで響き(らしきもの)を無理矢理にでも作り出し、人数で欠点をカバーするという、 大学男声合唱における発声の建前論を、私はそれがあたかも世界中で行われている手法であると、 完全なる勘違いとともに、当然のこととして捉えてきた。

いや、そういう流れの中に、どっぷりと浸かっていたのだろう。 おかげで、当時身につけた(?)力みというものが、いまだに除去できぬ。

男声合唱としてのインパクトや迫力といった浅い部分のみに偏り、とにかく力業で歌ってしまえば、 客にもそこそこ受けが良く、それで良いのだとするムードが、学生男声合唱界にあったのをよく覚えているし、

それは、確かに音楽のエンターテイメント的な一面を照らし出していることは間違いなく、 東西四連や東京六連等々、巨大な音圧を求めて毎年足を運ぶ固定客も少なくないものと思う。

合唱団に人数がそこそこ集まっていた時代にはそれでも良かった。 しかし、学生男声合唱人口の減少と共に、その手法は破綻をきたした。

50〜60人以上というそこそこの人数が集まれば効果を発揮するが、人数が減るにつれて、 逆乗数的に、そのメッキが剝がされて崩壊していったその発声システムを、 まさに前世紀の80年代末から90年代にかけて、我々は目の当たりにしていたのである。

関西学院グリーや慶応ワグネルの凋落は象徴的でもあった。 大久保昭男という発声指導者が両団に共通したことで、いろいろ噂はあったが、 今の私には、彼の事を忖度する確たる材料を持ち得ない。

さて、そのいわゆるグリークラブ・メソッドというものに対しては、 人数減とともに機能しないことが明らかになったにもかかわらず、大きな改革のメスを入れる人物が出現することなく、新たな発声の方向の流れも見つけ出せず、無為にも時間は流れ去り、現在に至っているのが実情ではないか。

学生の男声合唱も、ここ二十年くらいの間に、その発声は深みの色を失ってきている。

実際に聴く限り、OBがしっかりしているところは、旧態依然の発声システムのままか、 もしくは、改革に着手したようでも、指針が明確でないのか、効果を上げていない様子。そうでないところは、荒廃するに任せ、一部の団は廃部に追い込まれた。

いつの世でも、改革を怠ると 淘汰の波に洗われるのが理というもの。

我々は常に変わり続ければならぬ。 以前なら力業とベタ歌いで押し切ることもできただろうが、フィジカル的にも、それを続けるのは至難であることを、我々は悟らねばならぬ。

たまには、力業で歌いっぱなし・・・そういう男声合唱も良いものだ。でも、それは「たまに」だから良いのだ。

近年、団塊世代のリタイアによる需要の高まりか、OB合唱団の勃興が目立つ。 同じ遺伝子を持ち、比較的親和性の高いはずのOB合唱団でさえ、 そのベクトルを外向きに変えた途端に、同様の荒波に洗われるだろう事を覚悟せねばなるまい。

日常の忙しさにかまけ、見て見ぬふりはもうお仕舞いにしよう。 そうすることが、我々だけでなく、 後代の男声合唱を志す者達に対して我々ができる置き土産となるであろうから。

 

 


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 Posted by at 23:55

  2 Responses to “発声について思うこと(3)”

  1. はじめまして、大学合唱出身者としては耳に痛い話ですね。
    かつての楽しい経験は良い思い出として大切にしながら、
    今、良い歌を作りたいです。
    どうぞよろしく。

  2. cantate2010様
    コメントをありがとうございます。
    また、返信が遅れまして申し訳ありません。

    私の偏見を書き連ねておりますので、
    もしかしたら皆さんのご認識とかけ離れているのではないか・・・
    そういう危惧を常に抱きながら駄文を重ねている次第です。

    もしよろしければ、またお越し下さい。
    今後とも、本ブログをよろしくお願いいたします。

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