【その3】からの続き…
上州うた合戦は「歴史的な一日」だった
――群馬県合唱連盟規約の理念を体現する祭典
1. 「上州うた合戦」の熱気を振り返る
先日の「上州うた合戦」。11団体がそれぞれ持ち味を生かしたステージを披露し、さらに合同ステージで会場を巻き込む。気がつけば3時間があっという間に過ぎ去る大成功のイベントでした。終演後の交流会や二次会の盛り上がりについては前回書きましたが、今回はもう一歩踏み込んで、この日が群馬の合唱界にとって歴史的な一日だったことを考えてみたいと思います。
2. 合唱後進県・群馬のリアル
残念ながら「群馬は合唱後進県」と言われることがあります。確かに、コンクールに出る団体の数も限られ、なかなか関東の壁を突破できないなど、活動の場は決して多くない。お祭りのように合唱人が集まる機会は稀少です。だからこそ「上州うた合戦」のような新しい形のイベントは大きな意味を持ちます。単なる演奏会ではなく、合唱そのものをみんなで楽しむための祭典だったからです。
3. 群馬県合唱連盟の規約(目的)を改めて読む
前回エントリで示した県連の規約だが、決して皮肉でも何でも無かったのですよ。この条文こそが、実は合唱隆盛のユートピア(理想郷)を表現しきっているから。
第2条 本連盟は合唱活動を通じて音楽文化の普及振興に資することを目的とし、会員相互の親睦を図る。
第3条 本連盟は、前条の目的を果たすため、次の事業を行う。
(1) 演奏会・研究会・コンクール等の開催
(2) 加盟団体相互の連絡・情報交換・レクリエーションその他必要と認められる事業
要するに「音楽文化を広げる」と「合唱人同士の親睦を深める」の二本柱。一応、県連主催の合唱祭がこれを実現すべく毎年行われているものの、真の意味でこれを実際に形にしたイベントこそ、「上州うた合戦」だと思うのです。
4. 「上州うた合戦」が示した2つの意義
(1) 音楽文化の普及・振興
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11団体のステージが、群馬の合唱文化の多様性を示した。
- もちろん技術的に未熟な点はあれど、他団との相対化を目の当たりにすることでより明確となり、技量アップへの大きな動機たり得ること。(いわゆる他団から刺激を受けるということ)
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合同ステージでは「群馬の合唱の今」を体感でき、観客をも巻き込む力を持っていた。
(ただし、各団体をホチキスしただけではなくて、音楽的な要素を豊富に盛り込んだり味付けしたりするのは日程的に困難であったと受け止めている。これは今後の課題だろう) - 演奏までのマネジメントは、大半を「うた日和」さんに依存するも、全てはグループLINE上において全参加団体で共有され民主的な合意形成が図られたこと。
- マネジメントの各プロセスは的確であり、演奏会後作業においても膨大な記録データはネット上で提供されるなど、DX化が当たり前であり、県連主催の合唱祭もこうあるべきというひな形を提示できたこと。
(特に、当日にステージ練習を経ることができたのは良かった。本番演奏の充実に必須であろうから。)
(2) 会員相互の親睦
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交流会や二次会で世代や立場を超えた語らいが生まれた。
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「同じ群馬で歌う仲間」としてのネットワークが一気に広がった。
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言葉だけでなく、自然発生的に歌が響き合う瞬間があった。(みんな歌が大好き)
- 先生方との新たな出会いがあった。(先生方の薫陶というものは大切にすべきでしょう!)
これらを振り返るに、「上州うた合戦」はまさに、規約に書かれた目的を等身大で実現したイベントだったのではないでしょうか。
5. 歴史的な一日としての意味
順位や結果に縛られず、「歌う」「語る」「つながる」ことに価値を置いた一日。
群馬の合唱人が大きな枠でつながった初めての経験。
この日を境に、群馬の合唱界が次のステージへ進む可能性が見えてきたように感じています。
群馬の合唱人が大きな枠でつながった初めての経験。
この日を境に、群馬の合唱界が次のステージへ進む可能性が見えてきたように感じています。
6. これからへの期待
ただ、月並みな言い方ですが、今回の成功はゴールではなくスタートです。
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若い世代のさらなる参加(もちろんシニアも!)
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教育現場や地域住民との連携
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継続的に「つながり」を生み出す仕組みづくり
「上州うた合戦」は単なるお祭りではなく、群馬の合唱文化を支える礎になる。そんな期待を抱かせてくれました。
7. 結び
あの日の光景は、単なる一イベントにとどまらず、群馬県合唱連盟の理念を、おそらく初めて体現した歴史的な瞬間でした。
「上州うた合戦」は、群馬の合唱にとって“はじまりの物語”。ここからどんな未来が開けるのか、今から楽しみで仕方ありません。
「上州うた合戦」は、群馬の合唱にとって“はじまりの物語”。ここからどんな未来が開けるのか、今から楽しみで仕方ありません。
もちろん先進県の皆さまには、そんなん当たり前!といった事項も多く、きっとアクビが出たことでしょう。
例えがイマイチですが、ようやく細胞が1回目の分裂をしただけかも知れません。しかし、今後時間を経て、どのように育つのか。(はたまた枯れてゆくのか。)決して肥沃とは言えないここ群馬の土壌で声を上げた、この「上州うた合戦」とそのスキームに、今後ともご注目くださいませ!
(おわり)
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