合唱祭当日案内を嗤う

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 今年のおかあさんコーラス群馬大会で、参加団体の拘束時間が長くなったことは、ここ(雑感・コンクールにて)で既に記した。その中で懸念したとおり、このほど参加合唱団宛に届いた来月10月8日(日)に開かれる群馬県合唱祭の当日案内 においても、同様に出演合唱団が、自らの出演する時間帯(以下「ブロック」という)において、自らが出演するために純粋に費やす時間以外は、会場内で演奏 を聴くよう強制されているのだ。それでは、当団に届いた当日案内の問題箇所を抜粋して記す。

————————————(抜粋ココカ ラ)———————————–
(前段略)
 12. 出演と鑑賞について
   ・入退場口通過の場合は、すべての方が出演者証か入場券または半券を提示する。
 (1)出演団体合唱団員の皆様へ
  ・本事業は合唱連盟の中心となる事業の一つであり、合唱団の皆様にとっては、
   日頃の合唱練習の成果を発表する場として、また、互いの合唱を聴き合う貴重な場でもあります。
   十分にその趣旨をご理解頂き参加されるよう、切にお願いするものでございます。
   従って、今年度より次のように一日を3ブロックに区分けし、そのブロックの時間帯は出演・移動時間を除き、
   座席について頂くことと致しました。
   また、誘導係は、集合場所→更衣→練習→出演→写真→更衣→解散場所まで誘導することと致しましたので、
   ブロック内の時間帯は、座席にて鑑賞いただくよう御願いいたします。
   なお、会場のホール出入口には係を置いて出入りをチェックさせて頂きますのでご承知おき下さい。
   受付時に配布された出演者証は、退場時に受付へ返却するようお願いいたします。
    ※ 出演者証はブロックごとに色分けされております。
 (2)一般の入場者の方々へ
    入場時に渡されたチケットの半券は、退場・再入場時に提示していただきますので、
   最後までお持ちいただきますよう、お願い致します。

鑑 賞 の た め の 拘 束 時 間 帯
時間帯 Aブロック・・午前10時00分から昼食休憩開始時刻まで(凡 そ12時35分まで)
    Bブロック・・午後1時15分から休憩開始時刻まで(凡そ3時55分まで)
    Cブロック・・午後4時15分から閉会行事終了時刻まで(凡そ7時15分まで)
出 演 団 体 受 付 時 間(集合場所への 集合時刻は進行表をご覧下さい)
 Aブロック時間帯 10:00~12:34【18団体】《昼食休憩 12:35~13:15》
       【Aブロック出演団体受付時間 9:20~開演10:00まで】
 Bブロック時間帯 13:15~15:55【20団体】《休  憩15:55~16:15》
       【Bブロック出演団体受付時間12:00~開演13:15まで】
 Cブロック時間帯 16:15~19:15【17団体】
       【Cブロック出演団体受付時間15:30~開演16:15まで】

(後段略)
————————————(抜粋ココマ デ)———————————–

 あまり気がすすまないが、以下、一々コメントしておく。2006年5月号の小欄をお読みに なって飽き 飽きされている方は読み飛ばしていただいて構わない。なお、赤色表示は今回の当日案内のくだり。緑色表示は筆者の独り言である。では始める。

1.  本事業は合唱連盟の中心となる事業の一つであり・・・
A. ふむふむ、まぁ、連盟の規約にも載っているし、そりゃそう だ。

2. 合唱団の皆様にとっては、日頃の合唱練習の成果を発表する場 として、
  また、互いの合唱を聴き合う貴重な場でもあります。
B. 合唱祭の場を、参加する側がどう解釈しようと勝手であるが、
  主催者側がそのように規定しきってしまうのはいかがなものか。
  各合唱団にとって、合唱祭をどのように位置づけるか、自由裁量に任せる部分はあって然るべき。
  (例えば、翌月の定演に向けてのステップの場・・・とか)

  また、後段の「互いの合唱を聴き合う貴重な場」というのは、
  今年から連盟事務局がやおら吹聴し始めたスローガンであり、後付け理由の感が拭いきれぬ。
  実際にチケットを発行しておきながら、(開催地の地元合唱団にノルマを課しているのに)
  その、聴きに来ていただいたお客様を第一に考えず、
  「互いの合唱を聴き合う貴重な場」をまず一番に持ってくるとは、どういうこと か。
 
  確かに会計上は、合唱祭の事業収入の大部分は、参加合唱団の参加料だろう。
  一般客からのチケット収入とは比較にならない。
  だからと言って、それが、お客様軽視の理由とはなるはずもない。

  お客様を第一に考えていれば、合唱団員のモチベーションを下げる恐れのあるリスクを冒したり、
  各合唱団の演奏条件が不平等になるような、変チクリンなシステムを思いついたりしないだろう。
  マネジメントが良い演奏を引き出せないだけでなく、積極的に良い演奏を殺しに行ってどうする!
  
  お客様に、いかに良い演奏を聴いていただくか・・・、
  マネジメントの動機は、これだけで十分である。

  だから、今回の「互いに聴き会う場」などという、急ごしらえのこのスローガンなぞ、
  主催者側が一般客の誘致に真剣でない事実や、県民に対する合唱芸術の広報の怠慢というものを、
  上客とは一般客であるべきを手軽な参加合唱団メンバーにすり替えることによって、
  巧妙に隠蔽する意図があるのではと勘ぐられても仕方がない。

  (しかし・・・、そういう巧妙な仕掛けを考えられるくらいなら、まだ救いがある。
   深く考えない、短期的な思いつきの視座が見え透いているから、私は拘泥するのである)

3. 十分にその趣旨をご理解頂き参加されるよう、切にお願いする ものでございます。
C. お互いの言い分における前提条件が異なるので、理解は不可 能。
  ”切に”とか、”お願い”とか選挙運動のようなコトを言われても困る。

4. 従って、今年度より次のように一日を3ブロックに区分けし、
  そのブロックの時間帯は出演・移動時間を除き、座席について頂くことと致しました。
D. はぁ?
  「従って」?なんで「従って」という接続詞がくるのか。
  客観的に見ても理解できないことを述べておいて、「従って」はないだろう。
  百歩譲って、主催者が規定した「合唱祭とは互いの合唱を聴き 合う貴重な場である」ことが真であるとしても、
  だからといって、全ての参加合唱団が座席について聴くことを強 制される理由とはなっていない。

 どうみても、上述のように、「2. → 4.」の所でロジックが破綻している。「頼むから聴いてよね!」というのなら、まだわかる気もしないでもない。 はたまた、2.と4.の間に、何かが隠れているのかと考えてみたが、いや、ロジック など皆無だとしか思えない。もし有るとすれば、「理事会や事務局での決定事項は、構成合唱団は従うべき」という上意下達の論理だけだろう。

 くどいが、今回の改悪のデメリットを改めて主張しておく。

○会場内が演奏の合間に合唱団員達でごった返し、一般客にとって迷惑となるおそれが大きい。
○拘束時間が長い(メンバーのモチベーション維持に重大な影響)
○同一ブロック内合唱団間の平等性を欠く。
 (同一ブロック内でも早い出演順番の合唱団と遅い合唱団では公平な演奏条件とは言えない。
  たとえば、順番の早 い合唱団は、昨年までの合唱祭とほぼ同様の条件で演奏に臨めるが、
  順番の遅い合唱団は、自分の演奏前に客席に長時間にわたって釘付けにされ、
     《→ちなみに当団は、約1時間、客席に座っていることを強制される。
       何と、たとえば「みどり会コーラス」などは、約1時間 45分も座席に拘束!》
  モチベーションを落とすメンバーが大多数であろう。これだけ長時間聴かされれば、
  体調を崩す人間が出てもおかしくない。)

 以上より、参加合唱団が最高の状態で演奏に臨めるマネジメントからはほど遠いことだけは確かなのである。しかも、一般客を呼び込む努力はほとんどなされ ていないに等しい。逆に、演奏の合間の客席を騒々しくさせ、一般客を遠ざける結果になるのではないか。
 このようなリスクが明白であるのに、本件のような事を強行するのはなぜなのだろう。デメリットを少しも覆すことの出来ない今回の措置には全く首を傾げざ るを得ない。録音テープ頒布を廃止して、各合唱団における技術力向上のよすがを奪った。我々のようなコンクールにも参加しない合唱団にとって、合唱祭は貴 重な本番機会である。開催時期を秋の連休中日に変更して、団員を運動会や行楽から分断させてまで参加させ、逆に参加したくとも参加できない団員も顕在化さ せてしまった。そして今回は拘束時間を長くして、参加できた団員個人にダメージを与えようというのか。
 県内では著名な指揮者が多数名前を連ねる連盟理事会もが、なぜこのようなミスリードを続けるのか。全くもって事実は小説よりも奇なりとは、 このことかも知れない。

 批判ばかりではどこぞの政党と同じなので、建設的な(現実的な)提言を行いたい。
当然、このような無意味でリスキーな拘束時間を撤廃することが第一であるが、
来年以降、連盟主催のイベントで同じシステムでいくのであれば、せめて、次の二点に留意願いたいのだ。

1. 合唱団員席と一般客席を完全に分離する。
2. 合唱団員に、客席でのマナーを徹底させる。

1.について。
合唱団員が着席できる区画を物理的に仕切って一般客と完全に分離すべきだ。該当時間帯における団員の総数は把握しているのだから、必要な客席数はすぐに算 出できるはずだ。参加合唱団の一般客の視界を遮らない箇所で、出入り口に近い区画や、最後部の区画などは、合唱団員専用としたらどうだろう。例えば、 NHK学校音楽コンクール(全国大会)では、二階席を一般客席、一階席を参加合唱団員用に使用させている。

2.について。
6月号でも書いたが、今回の合唱祭で次のようなことが あった。ステージではちょうどある団体の演奏が終わり、退出する合唱団員、入場してくる合唱団員たちが交錯している中、席を確保した団員が(註;演奏を既 に終えたであろう一合唱団員=女性)、大声で仲間を呼び寄せ着席したまではよかった。この間、アナウンスは流れ、次の団体がオンステし、指揮者礼がなさ れ、拍手が鳴りやみ周囲が静寂に満たされても、その女性はなにやらバッグをまさぐっている。どうやらバックの中にしのばせているのはコンビニ袋のようだ。 ご存じの通り、あれは、結構耳障りな音をまき散らすものだ。中から飴らしき一品を取り出し、騒音はこれで止むと思われたが、その飴は小袋に包装されている らしく、客席の暗闇の中、ビニル製の小袋を破るのに難儀しているようだ。その間、ビニルの擦れる音が響き渡る。やがてその女性は目的のブツをようやく口に 放り込むと、「はぁ~」と小声を漏らしながらため息をついたのだった・・・。
一人でくつろいでんじゃねぇぞ!!ゴル!!!

たまたま、今回の合唱祭における最悪の客席シーンに居合わせてしまっただけなのかも知れないが、傍若無人のおかあさんコンクール群馬県大会での客席での騒 動を目にしている私には、参加団体がダブっているこの合唱祭においても、今回の出来事は氷山の一角なのではないかと思っている。連盟は、客席に合唱団員を 釘付けにするのなら、客席マナーを守ることを徹底させるべきだと考える所以である。

 21世紀に入って、群馬県合唱祭は変質してしまった。確かに改革の必要性はあったのだが、時勢の判断や戦略、利害得失の把握や対処戦術が的確性を欠き、 いずれも主観の域を出ず、ますます隘路に入り込みつつあるように思えてならない。

 

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