【寄稿】吉田 唯君を悼む

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9月 122017
 

郊外ではススキの穂が秋風に揺れ、あの衝撃から、早くも半年を経ようとしている。

本年3月28日。当団セカンドパートリーダー(当時)の吉田唯君が亡くなった。

本ブログ等、対外的にはその事実については、団としてアナウンスしなかったので、団友や旧団員など、今回のエントリで初めて知ることになる場合もあるだろう。そうなのだ。吉田君は亡くなった。もうこの世にはいない。

訃報が届いたのは、翌29日夜だった。仕事関係で宴席に出ていた私の携帯が不意に鳴ったのだ。表示される見慣れない発信者の携帯番号。こんな場合、普段なら、警戒して出ないのだが、虫の知らせだったのか、酔っていたからか、なぜかその日は出たのだ。吉田君のお姉様からの電話であった。落ち着いた低いトーンのお姉さんの声は、そのことを告げた。前日に自ら命を絶ったと。そして、私宛の遺書も預かっているという。私はいささか酩酊していたこともあり、にわかに状況が理解できなかったが、みるみる酔いが醒めていったことを今でも生々しい感覚として肌身に覚えている。遺されたご家族のこと、勤務先のこと、そして、4ヶ月後に控えた自前演奏会のこと、セカンドメンのこと・・・いろんな事が、頭の中を駆け巡った。

彼と私は同い年であった。4月になれば、私より少し先に新たに一つ歳を重ねる予定であった。団では、一緒にヴォイストレーニングを担当したり、Webとしての練習日誌原稿を編集したり、技術的な研鑽の場で競ったり、合唱活動をリードしてきたと言っても過言ではないだろう。君の書いた練習日誌群。今では愛おしくてならない。

時には面と向かって技術論で喧嘩したり、時には酒を酌み交わしながら、団の未来を展望したり、いろんな合唱談義に花を咲かせた。3〜4年前くらいからも、彼とのハーモニーが、急に親和性を帯びるようになってきて、
ハーモニーの相性なんて記事も書いたことがあったっけ。これから、更にこれを精妙なハーモニーにブラシュアップして、まえだんを、深みのある合唱団にしていこうって時に・・・。桜の花びらと共に逝ってしまうとは!

私は彼のことを知った気になっていただけだった。どこか、上から目線のような、知らず知らず見下していたのだろうか。そして、その可能性は一般に指摘はされていても、一緒の趣味をたしたむ彼が、そういう挙に出るとは考えもしなかった。そう。勝手に高をくくっていたのである。彼の置かれた境遇や環境など、親身になって考えてあげられていなかった、とんだ思い上がりだったのだ。

昨年夏から、彼は体調を崩し、合唱活動を休んでいた。気分の浮き沈みも多少あったようだが、生来の生真面目さは健在で、仕事だけはきちんと勤め上げていたようだ。以来、一定間隔で連絡を取り合いながら、彼の体調をおもんぱかってきたが、こんなことになるとは!

2010年にセカンドのパートリーダーに就任。以来、当団を音楽的に支えてきた信頼感は絶大で、活動休止中にもかかわらず、役員改選時に次期パートリーダーに選出されてもいた。私も若ければ、そして、自分の事だけ考えれば良いだけの立場であれば、きっと、訃報を知って、もっと心を乱して、号泣したかも知れない。しかし、半年前、私はそれを無理矢理咀嚼し嚥下し消化した。こういった経緯から、団員にもこの訃報を伝える役目を果たすこととなったが、それを受け止める団員達も心の中で、私と同じ作業を行っているように感じた。

これが大人になるということなのだろうか。50過ぎのオッサンの物言いではないだろうけど、私の感情というものが、意外なほど薄汚れてしまっているのだろう。今日、その汚れが急に剥がれ落ち、自らの感情に向かい合えるようになった・・・。

追悼の辞が、半年も過ぎた今頃になってしまったこと、天国にいる君に謝らねばならない。君が去ったセカンドは、確かにしばらくの間、支柱を失って迷走していた。でも、日曜日に臨練をしたり、練習後に特練をしたり、最大限努力したよ。とにかく、第9回演奏会では、「本番に強いセカンド」の伝統を守った。結果、演奏会は成功した。あの目くるめく第9回演奏会。昌賢学園まえばしホール。”Ave Maria”・・・君は一緒に歌っていてくれただろうか。

これからも、君は生き続ける。このまえだんのハーモニーの中に。永遠に。

     前橋男声合唱団マネージャー  中川 哲

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 Posted by at 21:28
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