4月 012011
 

Intercollege Male Choir Voces Veritas ―First Concert―”TAKE OFF!”
2011.3.30(Wed.)19:00 OPEN/19:30
渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール

前々からネット上で話題をさらっていた上記演奏会。Voces Veritas・・・いわゆる「真実の声」という素晴らしいネーミング。

昨年12月結成の、大学等の枠にこだわらない横断的な合唱団。(かなり以前にも似たような企画があったのを記憶しているが)今回、松下耕氏が音楽監督・指揮者となって全面プロデュースを手がけているようだ。

U-Streamで演奏会の生中継をするとのことで、そんなあたり、今時の学生らしい企画である。さすがに平日の東京での演奏会には駆けつけることが出来ず、ネット観戦と相成った。

ネット配信だけに、画像は言うまでもなく音質には若干難もあり、なかなか思うようには鑑賞できないものの、ヘッドホンを装着するに、臨場感はそこそこ、客席のおしゃべりも聞き取れるくらい。演奏が始まってみると、声の表情も聞き分けられ、予想以上に音は良い。

現場に臨場して、ライブを聴いたわけではないので、今回はステージ毎に何かコメントをすることは敢えてしないが、学生達の合唱に対する姿勢というものが真剣であることだけはよく伝わってくる。

エネルギッシュで力強く、若さがあふれ出てきてほとばしるような演奏は、聴いていて、なんと清々しいことか。その疾走感はきらめいて、彼らの持つ若さに嫉妬したくなるほどだ。

しかし、このような学生達の熱っぽさや真摯さというものを題材にして、松下氏は本演奏会で何をどのように表現したかったのかが今ひとつ伝わってこない。 松下氏がタクトを親しく揮う意義とはこれいかに?

男声が女声に主役の座を明け渡した混声ステージは、パートバランスも良く、充実したハーモニーを醸し出していたように思う。また終ステではソプラニスタ=岡本友高氏の来臨を仰いだ。

さて一方で、合唱団内には一定割合で、のっぺりとした硬い声が占有していた。残念ながら、時折この硬い声が音楽を支配し、一瞬で合唱をぎこちないものに変えてしまう。

そしてその一定割合が、最終的に外声にも該当してしまったことは、私の鑑賞意欲を急速に萎えさせるに十分であった。

一定割合存在するトップの浅い喉声、そして一定割合存在するベースの胸郭から下顎にかけて力んだ独善的な声は、演奏自体をステージレベルにとどまらず、演奏会の印象にまでダメージを与える結果となったのではと残念に思う。

声を聴いて、ダメっぽければ、全てダメ・・・などという、自分がそういうステレオタイプでは断じてないつもりであるが。その辺に対する松下氏の指示はどのようなものであったのか。

ネット中継ということで、耳に少々自信がない面も確かにある。まぁ、細かいことを言えばキリはないのだが、いくら本番までの時間がないとはいえ、合唱の作り込み方には、どうしても急造感は否めまい。

言葉は悪いが、寄せ集めの合唱団という言い方もできるだろう。単一大学合唱団のように、長い伝統が生み出す不思議な力や、同じ釜の飯を食い続けたことによるボーナスポイントを期待することはほぼ出来ぬ。

個人的な声楽的技倆はもちろん、アンサンブル技術がもろに効いてくる。それを統括する指揮者の力量もストレートに反映されがちである。

そもそも、合唱団を構成するのは、ある程度腕に覚えがあり血気盛んな若い男共であると推察する。

当然、急造であればあるほど、声出し競争的な要素が幅をきかし、練習のある局面では演奏に刹那的なボリューム感を与えるものの、実際の本番演奏では危険なデメリットに化けてしまうことは大いにあり得る現象だ。

それは、四連にせよ六連にせよ、過去の数々の合同ステージで私は見聞きし、その都度小さな失望を繰り返してきたものなのである。

そんな中であるから、ますます松下氏のコントロールこそが、演奏の死命を制するポイントであると言えるのだが、そこを今回も結局見いだすことができずに演奏会は終了してしまったのだった。

(私は過去の松下氏の指揮する演奏では、いつも今回と同じような感慨を抱く)

私見ではあるが、学生団体の場合、今回は限られた時間が目に見えているとはいえ、最大限に音楽を醸成していこうとする点を無視できないのではないか。団体として「こなれる」こと、そしてメンバー同志の親睦を図り内部エネルギーを蓄積する・・・この辺に、音楽を大化けさせ、「何か」を引き出すマジックが潜んでいるのではなかったか。

私の感性の鈍さとネット鑑賞スペックの拙さを棚に上げて、以上、好き勝手述べさせて頂いたが、今回のような若者達の試みに対して、私は全般的に好感をもって受け止めている。

彼らの溌剌とした歌声と、音楽に対する前向きな姿勢は、最近沈滞ムードの漂う我々の足下を明るく照らし出してくれたのではないか。

大災害のような非常時には人の真価がわかるものだと、最近何かで読んだか聞いた気がする。であるならば、このような合唱団の演奏時こそ、指揮者の腕の見せ所であるはずであり、この演奏を通して、 松下氏の不可解さ故に、私は今も胸のつかえがとれないでいるのだ。

ネット上での話題性や、岡本友高氏を起用したり、本邦初演曲の演奏だったり、パフォーマンス的な仕掛けは多彩であったろうけど、肝心な音楽的な部分に対して、指揮者による強引なほどのリーダーシップが欲しかった。

今回、ネット鑑賞という手段を与えられたので、その前提の下で、演奏会レポとしてエントリを起こした次第である。

もちろん、そういった制約下で演奏を評価する事のリスクは承知しているつもりである。翻って、また違ったリスクを承知の上でネット配信に踏み切ったのは、演奏側も同様だろう。

次回はぜひ生で聴いてみたいものである。

 


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