合唱の愉しみと忍耐(その2)

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前回=「合唱の愉しみと忍耐(その1)」からの続き)

構成する団員個人だけでなく、入団してくる団員の性質も、20数年間在団してみて、その時代時代の影響を強く受けてきたことを、実感します。(単に私が年寄りであることを告白しちゃってるだけかも知れませんが)

サイトというものは、本家ホームページにせよ拙ブログにせよ、小団の合唱団の内部情報をいろんな角度で提供しつつも、その実、入団を希望する方を、事前にフィルタにかけていると、そう言っても言い過ぎではないでしょう。

ですから、入団時に、その新団員のお方は、小団の活動内容をかなり把握してらっしゃる場合が多いです。

事前情報の中で、図らずも小団について何かを感じたからこそ興味を持ち、わざわざ練習見学においでになり、実物の練習を目の当たりにしてみたいと思い立つ・・・、そして、期待が確信に変わって入団に至る、というケースがほとんどでしょう。

確かに、広報・勧誘マネージャーとしては、オリエンテーションが一部省けて助かります。

しかし、そんな中で、私が特に気になっているのは、男声合唱の愉しみについて、もっとお気楽お手軽に得られるのではないかと、そう考えてらっしゃるのではないかと思われる方の増加です。

もう少々一般化して言えば、合唱を純粋な消費の対象として考えてらっしゃる方の増加とでも申しましょうか。その傾向は、肌身をもって私が感じてきたものです。

先回エントリでも記したように、自分が欲しいと思ったときに手軽に何でも手に入る時代です。同じ感覚で男声合唱の愉しみを求める者がいても、おかしくはないかも知れません。

合唱団のカラーにもよりますが、少なくとも、我々「まえだん」は、とにかく何から何でも楽しくというよりは、何と言っても指揮者の音楽観の影響が大きいのですが、音楽の厳しさや、集団の規律の中に真の愉しみを見出してゆくスタンス・・・(もしかしたら、うまく表現できていないかも知れませんが)そういう方向性を持っていると言えると思っています。

ですから、我々の練習成果を即、大きな感動として得ることは難しいです。

新団員の入団当初は不慣れな環境で刺激も大きく、暇を持て余すこともないわけですが、しばらく継続するストイックな練習の連続の中で、想定していた利益を得られず、逆にストレスが溜まってゆくことが常態化することだってあり得るわけで。

すなわち、短期間で投資を回収することはほぼ不可能だということなのです。

そのような現実に直面し、団としては、団員の継戦意欲を削がないよう、いろんな仕掛けを用意していますが、消費志向が強いメンバーは、それでも結構したたかで利にはさといのです。

ご本人の基準による費用対効果分析で割に合わないと判断すれば、一年足らずで(時には数ヶ月で!)退団を選択してしまいます。

そういった消費志向の強い団員・・・・言い換えれば、手っ取り早く合唱で感動したい団員・・・。私が入団して以来二十ウン年以上、全ての新団員との関わりを持ってきた中で、そういう方との出会いが多くなっているのを肌で感じております次第。

本年年初に起きた「偽ベートーベン事件?」などは、(覚えていらっしゃいますか?)消費者層の性向が、まさに「手っ取り早い」方向に向かって、徐々に変化しつつあることを裏付けているのではないでしょうか。

それは、閉鎖的と思われていた合唱界も決して例外ではないことが、やがて、違う形で我々の周りに顕在化する時が訪れるかも知れません。

「消費社会では、モノではなく物語が消費されます。ほとんどのひとはクラシック音楽に興味があるわけではなく、手っ取り早く感動を手に入れたいのです。」
(ハフィントンポスト「現代のベートーベンは自分マーケティングの天才」:2014年2月24日付より)

 

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