創立15周年特集記事(その3)

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◆確執の決着、そして新時代へ(1999~2003)

(画像は、2001年=平成13年5月26日に草津町ホテルビレッジで行われた強化合宿での集合写 真)

保守派と改革派の論争は、健全に機能し、常任指揮者を擁する改革派が主導し保守派がチェック機能を果たすという、ある意味で良好なバランス関係を維持しながら、建設的な方向へ合唱団を導いてきた。

しかし、保守派が歴史を巻き戻せると勘違いを犯し、それを実際に策動として行動を起こしたとき、この関係は大轟音を立てて崩れ落ちたのだった。

2001年(平成13年)に入って、執行部では年末までに想定される第三回演奏会の実現に向けて、詳細なプランニングが始まっていたが、5月になって突然(それは執行部内に事前の話もなく)小山前団長から、「定演を延期し、翌年2002年6月に、大人数による男声合唱団演奏会を開催しよう」という提案がなされた。

再び、東北大学メモリアル合唱団を呼ぶのだという。1990、1991年に行われたジョイントコンサートの焼き直しを、定演を蹴ってでもやろうと言うのである。

この思いつきとしか受け取れない提案に対し、自己の演奏会を優先すべきという異論は当然続出し紛糾したが、結局、この演奏会の音楽監督に、中曽根女史を据えることと、団員の 経費負担を皆無とすることを条件に、同演奏会への参加が決まったのだった。(名称は伏せるが、同演奏会へは強力なスポンサーがつく予定であった)

確かに、 その条件がクリアされれば、この上ない環境で大人数の、しかもレベルも そう低くない男声合唱を或る程度楽しめるだろうことは想像に難くなかった。

しかし、東北大学メモリアル合唱団が、軽々にと中曽根女史を音楽監督として認定するかどうか、そして、経費負担無しという担保は全くなく、更には次第に団員の疑念は高まり、9月の定期団員総会で小山前団長に対して尋問すべきと言う声が大 勢となった。

こうして合衆国で起きた同時多発テロと同時期に、一部団員により、中曽根女史の練習態度を不適格と指弾する(甚だ主観と偏見に満ちたものであったが)突然の不信任動議をきっかけとする退団劇が勃発したのだった。

団員総会をのべ2日間開催しての議論の結果、その当初の前提条件は崩れ、同演奏会への不参加が決議された。そして、この事態に、団長・副団長共々団を辞する(罷免ではない・・・為念)という憂うべき結末となっ た。

以降、この事件の後遺症は残ったメンバーを長期間苦しめることとなったが、この後の素早い新体制への移行が刺激となり、残留メンバーの結束を高めるという意外な効果も生じ得たたのだった。

とりわけ、メンバーの個人レベルでの合唱への情熱と、不断の努力により着実に人数を回復しつつあると言えるだろう。

実働団員はようやく2004年(平成16年)4月現在、13名を数えるにまで至ったた が、前述の「失われた5年間」に、一度我が団を去っていった人材の回復は困難を極め、元々、合唱後進県である群馬県内での人材発掘は、従来の方法では限界 に達しつつあるのかも知れない。

この間、かつての低迷期に比し、合唱を楽しむ意欲を持つ者が確実に増え、マネジメントグループを中心に固い結束のもとにコアとなって活動を支える状況が 現出し、かつてのように活動が停止してしまうようなことも無く、団の活動基盤はようやくここにきて微動だにしないものとなってきた。

そして、2004年7 月には5年間のブランクを経て、第三回演奏会を無事挙行できた事は、既報のとおりである。

(画像は、2002年=平成14年4月14日 高崎駅西口「庄や」 での、
 北川雅和さん歓迎会集合写真 photo by 近藤一郎さん)

人々の趣味はますます多様化し、「合唱」が社会人の趣味の上位ランクから姿を消して久しい。仕事に家庭に多忙な中、「合唱」を続けるには他の趣味に比較して根気の要るものである。

団創立以来のべ40名以上の人間が籍を置いたものであるが、定着率は甚だ低く、現団員は名簿上は24名、実働に至っては13名程度を数えるに過ぎない。

創立時団員のうち現在も名簿に名を連ねる者は、高々2名程度に過ぎず、第1回定期演奏会以後では、既に休団もしくは幽霊化した団 員が10名以上にも達するという深刻な事態である。

外見での判断が優先される今の時代と無関係ではないだろうが、何か、集団で一つの目的を達しようとする行為が困難になってきているのだろうか。

確かに、個人優先で、人々のニーズは細分化され止まることを知らない。個人間の利害を調整し、一本化していくとい う、合唱団における前提条件自体が、だんだん時代に受け入れられなくなっているのかも知れない。

だが、悲観ばかりしていても始まらない。価値観多様化すれば、捨てる神もいれば 拾う神もいるということでもあるのだ。男ばかりの胡散臭いと見られていた集団に価値を見いだす人間も、最近入団する傾向にある。

こうした新たな世代には、 21世紀における一生の趣味として の男声合唱の新たな魅力というものが、おぼろげながら目に見えているのかも知れない。

最近入団した若いメンバーが身の周りにいらっしゃるだろうか?であれば、遠慮せずに語りかければいい。彼らは時代の申し子である。彼ら若い世代と歌声を共にしていく事の重要性は論を待たないが、積極的に若い世代と交わり、 時代を嗅ぎ取った変革を臨機に進めて行くべきと考える。

(おわり)

 

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