雑感(コンクールにて)

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5月初旬、高崎市の群馬音楽センターで、「おかあさんコーラス群馬県大会」が開かれた。県内各地から、54団体が参加し、朝10時から夕刻まで、持ち 時間 8分のステージで、持ち前の個性を生かし、それぞれの合唱力を競い合った。この中から24団体が県代表として、7月の関東大会に挑むことになった模様だ。

私はエントリーしている合唱団の演奏をくまなく聴いたわけではないが、今年から、客席の状況が一変したのに気がついた。どう変わったかというと、参加団 体のメンバー達が、自分の出番の前後で、お行儀良く他団体の演奏を聴いているのである。

確かに、昨年までは、他団体の演奏には目もくれず、現地集合→現地 解散が常態化していたものだ。何やら今年からは、連盟事務局の指示があったとのことで、演奏団体のタイムテーブルにこのような項目が追加されたのだとい う。

私は一般客の立場で会場を訪れていたに過ぎないのだが、とにかく、出演合唱団が交代するほんの1~2分の間、客席への出入りで騒々しくなり、会場内が ごった返すのだ。

時々、良い演奏に出くわしたとしても、その終演直後から高らかな笑い声と共に、前方に陣取っていたオバサマ軍団が一斉に立ち上がり自分た ちの演奏へと向かっていく。まるで、演奏直後の余韻を乱暴に切り裂いてゆくかのようだ。

対して、入場してくるオバサマ方も、電光石火の座席確保劇を演じて いる。むろん、ドアには開閉を取り締まるスタッフが常駐しているのだが、客席内のスタッフは不在で野放し状態であった。

一体、変更の理由は何なのだろうか?想像するに、現在の合唱界が抱える問題の発現としての二つの状態、すなわち、客入りの芳しくない状況と、高齢化によ る技術の劣化…、これらを一挙に解決することを狙ったとも考えられる。

これにより、歌う側としての合唱団員を一時的に聴き手に転用し、表面上は客入りが寂 しい状況である現実から目をそらすことができる。更に、こうして多少なり出場団体に研鑽を積ませることによって、事務局としても、技術力アップに決して無 頓着ではないとアピールが出来るというものだ。

しかし、一般客の立場として言わせていただけば、甚だ迷惑な客席の状況にしてくれたものだとしか言いようがない。

我々一般客は、審査員よろしく純粋な演奏時間中だけ感覚を研ぎ澄ましているわけではない。はっきり言って、聴かせられる演奏によって、居眠りもすれば、心の中で耳を塞ぐことだってある。だから、 折角演奏で好印象を抱いていたとしても、ステージの合間に不快な雑事が入り込むことによって、その高揚した気持ちは忽ち失せてしまうものである。

三度のメ シより合唱が好き!という向きにとっては、最悪、気分を大いに害して家路につくなんてこともないとは言えないという重大な事態である。ただただ単純に合唱 を楽しめる環境を提供していただければ、それで良いのに、だ。

また、歌う側から見ても、必ずしも良いとばかりは言えないのではないか。建前としての、他団の演奏を聴いて学ぶべき所を学ぶという目的はよくわかるが、 本当に聴きたい合唱団の演奏を、実際は聴くことが出来ていないのではないか。

元々、特定の他 団の演奏に興味がある人間なら、このような絶好の機会、既に目星をつけて積極的に客席に向かうものだ。逆に言えば、事務局が合唱技術に無頓着だったからこ そ、聴く価 値を見いだせない演奏をする合唱団ばかり乱立させてしまったという考え方もできるのではないか。

また、いたずらに拘束時間を長引かせ、大事な本番直前の合唱団員達を客席に釘付けにして、折角アップしてきたモチベー ションが低下する可能性も高い。確かに、全合唱団が同じ条件下に置かれるのだから構わないのではと反論されそうだが、やはり、最高の演奏をしてナンボのコ ンクールである。マネジメントが良質の演奏を引き出すことができなくて、何のためのマネジメントであろうか。

そもそも、広報によってお客さんを集めるという基礎的なマネジメントは、当然主催者側が周到な準備のもとに実施すべきであって、客入りの多寡は主催者側 の責任に帰す。それを、リスクを承知か不承知かはわからないが、とにかく一般客に煩わしい思いをさせてまで、連盟加盟構成員に転嫁させるとは、なかなか良 い根性をしている。(苦笑)

物事のルールを変えるとき、予想されるメリットとデメリットを分析し、総合的な検討の中で、導入した方が合理的であり得策だと判断されるのなら、その変 更は致し方ないだろう。

しかし、合唱技術の振興を図るべき合唱連盟は、果たしてきちんと分析をしているのだろうか。

見通しや根拠に乏しく、いわば思いつき に近い変革を、近年の群馬県合唱連盟がその事務局を中心に場当たり的に行ってきていることは小欄にて何度も報じてきているところだが、理事長が代わったと はいえ、体制の本質部分こそは何の変革もなされていない疑念が露見した今回のイベントであった。

10月の合唱祭でも同様な通達をするか不明であるが、今回のように出演合唱団の拘束時間を長くして、その動線を客席内で輻輳させるのは、一般のお客に とっては迷惑以外の何ものでもない。また、合唱を振興する立場の主催者側が、その対象者をして合唱から去らしむるやも知れぬという矛盾した可能性を孕むこ とを肝に銘ずるべきであろう。

(以上、「オバサマ」という表現を使っているが、贔屓目に見ても、少なくとも50代以上の年輩の方が大半であり、「ご婦人」「女性」「貴婦人」等々、他の 表現を用いることも検討したが、私が実際に目の当たりにした彼女らの傍若無人の所作振舞を適切に表現する三人称を勘案したところ、これを採った次第。特 に、実際に当日出演された方で不快に思われた方がいらっしゃれば、ご容赦願いたい。)

 

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