創立20周年記念・第5回演奏会を挙行!!(その4)

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(3)憧れを知る者のみが

デリケートかつ有名な一曲である。 男声からしたら上のC音で、「ニェット」という否定語から曲が始まるという、 集中力をもって気をつけないと、ユニゾンにまとまりにくいという難物とも言える。 とはいえ、バリトンの中で目立つ硬い声は私だろうか。入りの音量も大きめであったのは残念。

このバリトン、ピッチは高めにポジションしており、決して悪くはないのだが、 発声がモロ苦しめであり、それが聴き手に伝わってしまう。 早くも、横隔膜が上がり気味だったのか? 苦しさ故、どうしても早めに歌おうとする気持ちが強まるため、走り気味となる。 一曲目と同様、気ぜわしさが先行し、もっと落ち着いた曲調であるところが、 なんとなく不安定な音楽の素地を作り出し、それがラッカー塗料のように全体に広がってしまうのだ。

堅調であるのはセカンドとベース。 小団セカンドは伸び盛りのパートであるため、まだまだ荒削りではあるが、 よくよく聴けば、随所で力を発揮しているのが光る。 この曲でも、サポートに徹し、、メロディをつないで卒無くトップにリレーを完遂している。今以上に響きを集め、胸に落とさないよう歌うことができれば、 男声合唱に更なる深みを与えることが出来るだろう。

ベースも、どうせピアノの左手に隠れて・・・などと腐ることもなく(苦笑)、陰に日向に合唱に奥行きと広闊さを与えている。 和声のルート音として全体を包容するような柔らかさ、 どんな細かいリズム音型を上のパートが歌っていようと、どっしりと支える剛直さ。 本曲中盤の下降音型による、感情を押し殺したような饒舌さは、ベースでなければ表現し得ない。

今後は、もっともっと身体から力が抜けたらナァ・・・、 歌おうと意気込むよりは、とにかくメンバーの共有時間を増やして、 全体を包み込むように響かせようと心がけた方が良いかも知れない。

それにしても、ピアノのリフレイン、たまりませんなぁ。 上原さんの寄り添うような伴奏は、本当に心に沁みました。

チャイコフスキーってヤツぁ、相当計算高いかもね。 きちんと聴き手や歌い手の心理状態を知り抜いた上で、曲を設計してやがる。ま、そうでなきゃ、この時代まで歌い継がれないわなぁ。

(4)ドン・ファンのセレナーデ

一転してアップテンポ。 いやぁ、走り気味のバリトンは、ここまできてようやく、想定しているテンポになったのかい? あぁ、そうですか。 しっかし、最近うすうす気付いてはいたが、テナー系(特にセカンド)のTmTmなんすけど・・・、ほとんど音になってないのですね? ま、いいか。

ロシア語歌曲でありながら、ラテン調によるリズミカルな難曲である。 この曲の主人公は、時には荒々しく、しかし繊細で一途な面をも併せ持つ。Bass系による明るく男性的なメロディがバリトンとベースによって交互に歌われ、 ユニゾンによるナイーブな表現を経て、恋人ニセータへの呼びかけに変わる。

くだんのTmTmTmという三拍子は情熱的であり、フラメンコさえ想起させる。しかし、前述の通り、その域には達していなかっただろう。 ややオペラチックさが抜けきらない、日本訛りの強いBass系は重心が若干高いのか?更に落ち着いて高音域をはれ張れれば! と惜しい気がしないでもない。

Tenorも、響きが上滑りしているのは、疲労が蓄積してきているからなのか、その程度の実力なのか。 Bass系からのメロディを受け継ぎきれずに、一本調子で粗が目立った。 とはいえ今回の演奏は、尻上がりに調子が出てきたと思われ、終曲のボリューム感は圧巻であった。

「チャイコフスキー歌曲集」・・・ この曲を、もう二度と歌うことはないのだろう。・・・この瞬間、この音楽・・・ 全てが掌中の砂のように、つかんでもつかみ直しても儚く指の間から流れ去ってゆく。 千々に乱れる私の感情。 今となっては、全てが愛おしい、輝いていた時間の連なりである。

 

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