ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団演奏会(指揮:西本智実)

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2009年9月21日(祝) 於:サントリーホール

西本智実。「男装の麗人」・・・こんな至って陳腐なキャッチコピーで、 最近テレビでの露出度が高くなっている注目の指揮者です。

中身のない人物程外見にこだわるといいますから、彼女の鼎の軽重をはかりかねていましたが、それは、こんな売り出し方を選択している所属事務所のやや軽薄な思想によるものなのでしょうね。 テレ朝の「徹子の部屋」にも、もう既に出演済みで、YouTubeあたりでも視聴可能です。

特に聴きたいと焦がれていたわけではなかったのですが、ちょうどチケットが入手できたので、 新宿湘南ライナーに乗って、サントリーホールまで行ってきました!

まぁ、目的は、もちろん音楽を楽しむためですが、その演奏を聴いて、 (僭越ながらも)彼女の実力を推し量りながら、あれこれ考えることも第二の愉しみとして、 私の心の奥に潜ませての上京ということになりました。

この日のプロは、ロイヤルフィルの日本ツアー中におけるAプロで、
「トリスタンとイゾルデ前奏曲」
「マーラー交響曲第五番」
というお品書き。

何と2000円というパンフを売っていたので、正直高いと思いましたが、 どんな事が書いてあるのだろう?という好奇心が勝り、上掲画像のとおり購入。

予想通り、この日だけのパンフというわけではなく、ツアー中に使い回しの可能な、 他のプログラムと共用の代物でした。

チューニングが終わって、西本が燕尾服に身をまとい、颯爽と袖から登場。 私の席からは少々遠かったのだが、お顔を拝見。

すると、青白いとも思わせる顔色に見えたのだが、 (化粧の効果もあるだろうが)それは彼女の肌の地が真に白いからそう見えるのか、体調が今ひとつだからなのか見分けはつかなかったわけですが、 ともかく、そそくさと演奏に取りかかる指揮者。

西本の指揮する生演奏を初めて聴いての第一印象は、(再び偉そうなことを言うようですけど) 音楽のつくりは端正で丁寧、(←そういうところを敢えて女性的と言えば言えなくもないが) 打点も明瞭で、聴き手には明快で共感しやすい要素が多いものの、 演奏自体が濃厚さというか重厚さに欠けるように感じました。

立ち姿はスマートで、物腰が柔らかな感じが、ロイヤルフィルの音楽をそうさせるでしょうか。

しかし、「トリスタン」も「マラ5」も、金管がよく鳴るわ鳴るわ。 金管が腹の底から突き上げるように響かせる演奏は、心地よいほど。 群響の何倍も鳴ってました。(汗)

ただ、それが良く影響する場合と、リスクに転じてしまう場合がありますからね。 そこが注意ですよ、西本さん。

だからって、弦もそりゃもう素晴らしかったですよ。 注目していたマーラー第5番第4楽章・・・、緩急の差やテンポの揺れはあまりなく、 濃い味付けが好みの私にとっては、やや物足りなかったのですが、 ハープと弦(特にヴィオラとチェロ)の透明感溢れる美しさには、もううっとりするしかありません。

うーん、やっぱり「ベニスに死す」の先入観が強いのか、映画中の断片的なシーンを思い出しますね。 それに、この楽章は、学生時代取り組んだ「リュッケルトの詩による五つの歌曲」のうちの、 第三曲”私はこの世に忘れられ”の主題を包含するということもあり、 元々個人的には思い入れの強い楽章なんです・・・。

18時開演で、まず「トリスタン・・・」、20分のインタミの後、「マーラー」。 20時10分には終演していたから、全体的に駆け足の演奏だった印象が強く、 このテンポの速さが、重厚さに欠ける印象を強くしているのかも知れません。

いや、それにしても、演奏終了後、拍手の嵐の中、西本が舞台袖を出入りする度に、 なんだか、スタンディング客が増えてゆくんです。

個人的には、私はさほどとは思っていなかったので、客との感覚の乖離に戸惑いながらも、その客層を観察。

どうやら、スタンディングしているのは、年輩の女性が圧倒的! 想像だが、ありゃ追っかけのオバハンっぽいね。 熱狂してるんですかね? 「オスカル様ーっ」。うーん、ここは宝塚か。

ママさんコーラスでも、クラシック演奏会でも、やっぱオバハン最強です!

とはいえ、愛想をほとんど振りまかない西本も、これ最強!

「女性指揮者」ってだけで、色眼鏡で見てしまうのが我々民衆の持つ一般感覚。 「男装の麗人」なる特異なキャラは、それはそれは興行面では成功しているのでしょうけど、 ご本人は、本当はそれを持ち出さずに堂々と音楽で勝負したいと願っているのではないでしょうか・・・。 ま、それも、私の勝手な「そうあって欲しい」という願望でしかないのですが。

まぁ、特殊なオバハンの戯れを別とすれば、たまには海外オケの演奏も良いものです・・・。 純粋に生演奏を楽しめたし。 芸の肥やしにもなるしね!(なればいいのだけど!)

すんません。次は、合唱演奏会聴いてきますので。

 

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