会場は豊かな残響の誉れ高い「郡山市民文化センター」。二千人というキャパシティをもつ、素晴らしいホールである。合唱王国郡山の牙城とでも言おうか。
一時間半も前に会場に着いてみると、既に長蛇の列が!開演一時間前を待たずに、開場時間が繰り上げられる。
それでは、お待ちかね、「全国合唱祭」での演奏に触れてみたい。プログラムを確認してみよう。
- 郡山第二中学校合唱部(指揮:佐藤美奈子)
「Missa Brevis in F KV.192より」
Kyrie
Gloria
Credo - ハルモニア・アンサンブル
Gaude Virgio,Mater Christi
Kondailla
春(津軽の音素材による混声合唱「四季」より)
Bridge over troubled water - ヴォーカルアンサンブル《EST》(指揮:向井正雄)
Ne timeas, Maria
O quam gloriosum est regnum
hope,faith,life,love
斉太郎節考(「斉太郎節考」より)
湯かむり歌(「日本の民謡 第7集」より) - 合唱団お江戸コラリアーず(指揮:山脇卓也)
Noduri
Valkeat Kaupungit
Dulaman
くちびるに歌を - 「安積山の歌」初演
女声版(by 安積黎明高校合唱団)
混声版(by 安積高校合唱団) - 安積高校合唱団(指揮:鈴木和明)
初心のうた 混声合唱とピアノのための曲集
初心のうた
とむらいのあとは
でなおすうた
泉のうた - 安積黎明高校合唱団(指揮:宍戸真市)
Gloria(Missa Nonaより)
女声合唱とピアノのための組曲「譚詩頌五花」より
宇宙の滴りをうけて
きみ待つと - 全体合唱
「ふるさとの四季」より
ふるさと
全体としての印象だが、終わってみれば、一団体が、ほぼワンステージのボリューム。今年の全日本コンクールで金賞受賞団体ばかりを集めたラインナップ。手練れの名手達の歌いっぷりに、まさに聴き応えは充分。まずは、安心して聴くことができるのだ。
この聴き手側の心理状態は、それだけで、妙な雑念を想起させずに音楽に集中できる。そして、その心の余裕が感覚をより鋭敏にさせようというものだ。しかも、これらの演奏を最高のホールで無料で聴けるとは!
同じ中学の管弦楽部を伴い登場したトップバッターの郡山二中。彼らに私は度肝を抜かれたのだ。(たぶん、しばし口を開け放しの阿呆づらで聴いていただろう)
伴奏の管弦楽部が、前奏からプロ顔負けの演奏を聴かせてくれるのだ。決してお世辞ではなく、この輝くような弦楽の明るい響きと、生き生きとした精緻なハーモニーは、そんじょそこらのオケでも、なかなか紡ぎ出すことが難しいだろう。
もしかしたら、こんなのが郡山では日常茶飯事なのかぇ?と、ほくそ笑みながら、合唱に聴き入るに、これまた、中学生とは思えないほどのコントロールの行き届いた歌声が流れ始める。この年頃にありがちな、発声上の独特の力みや浅さや、音程の不安定さは微塵もない。
ソプラノの眩しいほどの溌剌とした響きは、ミサをしてこの空間全体をまるで浄化するかのようだ。堅実なアルトは、低声部においても輪郭をぼやけさずに聴き手に迫り来るほどの存在感だ。また比較的弱点となりがちな男声部も、造形が色濃く表現され、少人数の割にトーンの統一感も抜群。全体として高音部でも足並みは乱れることがなく、Credoまでを無理なく歌いきる。
指揮者の佐藤氏は後ろ姿こそ淡々としたタクトさばきであったが、モーツァルトのミサという題材を十分すぎるほど味方にすることができていたのではないか。欲を言えば、もっと陰鬱というか沈痛な響きを聴いてみたかったが、今回はやむを得ないだろう。
郡山二中はNコンでも、ここ3年連続で全国金賞に輝いている。私はせいぜいテレビ放映で見聴きしたことがある程度で、今回あらためて目を見張らせて頂いた次第。
郡山二中に多くのスペースを割いてしまったが、これは今回の演奏会に対する私のインパクトの度合いをそのまま表していると言っても差し支えない。次回こそは、その他の団体の演奏についてレポートしたい。
(つづく)
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コメント
《EST》の2曲目は O quam gloriosum est regnum です。今年のG1です。
斉太郎節考の組曲名も「斉太郎節考」です。私は《EST》の代表をしております。
演奏はいかがでしたか。
H.N.様。
コメントをありがとうございます。
大変失礼いたしました。
そそっかしいもので、お恥ずかしい限りです。
(早速、本文は訂正いたしました)
大変僭越ながら、(その3)で感想をアップさせて頂く予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。
第16回音楽都市こおりやま「全国合唱祭」((その3)について、
3月10日付けの私のコメントに記しましたように、既に下原稿を用意してございましたが、
今回の大震災の発生にかんがみ、掲載は見合わせたいと存じます。
なにとぞご理解の程お願いいたします。